
飲酒増加は注目されている。20年前にはアルコール病棟の36人に1人が女性であったが、80年代の中頃にはその比率は増加して8人に1人となった。「アルコール問題を考える市民協会’の最近の調査によると、13才から17才までの学生の80%以上が飲酒しており、55%が酩酊に達している。 このような社会状況の下で小売酒販業者はエタノールの特性をある程度理解した上で酒を売ることが要求される。こうした要請に答えようと、ここで紹介する研修会が全国小売酒販組合の協力を受けアルコール健康医学協会によって企画された。この試みは単に小売業者にとってばかりでなく社会全体にとっても画期的であり意義深い。 全国小売酒販組合は地域的に11つのブロックに分かれている。研修会は1ブロック1回開催されるよう企画された。この研修会への参加は自発的なものでありメンバー各自の意志による。研修は2つの講義から成っており5時間を要する。講義の前半はアルコール健康医学協会のスタッフが行なっており、飲酒習慣の歴史的、文化的、制度的な背景の概要を解説し、また、公衆衛生害議会、中央酒類書議会の意見等を紹介している。後半の講義は国立久里浜病院の医師によって講義されている。アルコールに関連した生物学的、病理学的、行動学的な内容等が含まれている。 講義の終了後に参加者には終了証が与えられる。また、講義の前後に参加者には質問紙が配布される。この質問紙はアルコール特性やアルコール関連間題に関する質問で橘成されている。現在までの1年間に3回の研修会が開かれた。参加入数は3地区を合わせて468人である。質問紙の結果は、2回の質問を行なった165人について講義前で87点、講義終了後で97.5に上昇した。この結果を以てこの研修の有効性を論することはできないが、我々は1年後に参加者に対して今回と同じ質問誌を実施しようと考えている。その結果を得て、この研修の有効性を検討したい。
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